TNC 小笠原道大 少年愛小説


「……別に。ようやく南くんを見つけられて嬉しかったし。それに、何か言えるような立場じゃない……」。若者が初めてはっきりと見た蘭は、それはそれは美しかった。こんなキス、どころか、キスすら初めてだ。桜庭は、鷹司に抱かれたままできる限り腕を伸ばし、ガラスの内側から飛び散った血に触れ、指をすべらせてみた。老人は、無言のままリアリーをじっと細い瞳で見つめる。だって悪いのは、なにがなんでもすべてあいつだから!と河内は揺るぎなく憤る。「夢魔の気配がするな……」。

綺麗な顔を見ているだけでドキドキした。こんなキスしてあげたら、女の子も喜ぶだろうに。

「あいつに!」。「なるほど……。じゃあ私も立候補するかな」。桜庭はドールと同調し、自分がターゲットを裁いているような気持ちになっているのかも知れない……――。綺麗な顔を見ているだけでドキドキした。貧乏暮らしが長かったため仕方がないかもしれないが、ファッションセンスがない以前の問題で身なりに無頓着(むとんちゃく)だった高埜をここまで変えたのはファイの尽力だった。「ん?なに?なんかっ──ぅわっ!」。

「よほどその人の子が気に入られたようですね?貴方様がご自分の御寝所に私以外の者を入れたのはその子が初めてですよ」。真剣に宣言する拓哉に、神谷がソファでずるっとこける。ドアの前まで勇人を見送り、いきなり強引な手つきに引き寄せられ、今夜を約束するような激しいキスをもらった。魔王の惚れっぽい性格は周知の事実で、一目惚れをしたと言って口説かれたという話も一つや二つではきかない。

炎十郎の様子は明らかにおかしかった。ケーキの名前を聞くだけで、胸やけがしそうだった。「顔だけだったら、そこらへんの女よりかわいいんだけどな」。「拓哉……」。

長いキスから開放されて、勇一郎が自分の反応を窺っていることを感じた七重は、なにがどうなっているのか分からないまま、うまく動いてくれない舌を動かした。


ボーイズラブ小説作品紹介


誠人は高校を卒業すると故郷から逃げるよう東京へとやってきた。それから一年。その日はハタチの誕生日だというのに、冷たい恋人にデートをドタキャンされ誠人は塞ぎ込んでいた。そんな誠人を励ましてくれたのは、誠人が働く店の客の浩太だった。その日から急速に距離が縮まっていく二人。恋人以上に連絡を取り合い、休みの日にはどこかに出かけた。実際、浩太は恋人よりもマメで優しかった。しかし、ある時から誠人は浩太のいくつかの嘘に気づきはじめて……。

タイトル:嘘つきな唇にキス
著 者 名:藍川真冬
レーベル:カフェシリーズ
発 行 元:キリック

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